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  • 執筆者の写真nekogumi

療法食はネットで買ってはいけない?

更新日:2022年2月1日



結論を先に言ってしまうと、どこで買おうが消費者の自由である。


ただ、療法食だけでなくキャットフード全般に言えることだが、猫の体調に合わせてその時々で見直しは必要であり、とりわけ療法食に関しては、病院で検査をしてもらわない限り、その猫が療法食を必要としているかどうかは、わからないのだ。

猫の療法食は動物病院でも売っているが、ホームセンターやドンキやネットでも普通に買う事ができる。以前勤めていた猫カフェの近所にはドンキがあり、良く買いに行っていたものだ。


現在は主にネットで購入しているが、近所のスーパーにも置いてあり、2割引きキャンペーンの日には誰かが買い占めたのか(たぶん買い占めたのだろう)、ロイヤルカナンユリナリーS/Oは売り切れており、棚はそこだけ空っぽになっていた。


ある動物病院で療法食は必ず病院経由で購入してほしい、他では買わないようにと言われた事がある。動物病院でしか買えない類の療法食だけでなく、スーパーにも置いてある療法食についてもだ。


その動物病院以外では、先生に療法食を与えるように指示されたら、その療法食をドンキなどで買っていたので、自分は悪い事をしていたのかと不安になったりもした。


なんだかよく分からなかったので調べてみたら、動物病院で検査もせず、自己判断で病気だと思って療法食をあげ続けてしまう飼い主がいて、それが問題視されていることが分かった。


一般財団法人獣医療法食評価センターの「療法食ガイドライン」のQ&Aにこんな記載があった。

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Q3: 獣医師の診察を受けずに療法食を与えると、どのような問題がありますか?

A3: 獣医師による診察を受けずに、長期間の不適切な使用により、犬猫の健康被害事例が報告されています。

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2012年の日本獣医師会の調査では、療法食の誤使用に起因することが疑われる健康被害等が、全国で犬19例、猫18例あったそうだ。


2012年の犬の飼育数は11,534,000頭、猫は9,748,000頭。その数からすると、レアケースとも言えるが、1例でもあったら問題は問題である。


療法食は薬が入っているわけではなく、ある栄養成分が少なめに、または多めに配合されているなど、栄養成分の含有量が調整されているフードである。療法食はAAFCO(米国飼料検査官協会)の定める基準値を満たしてなければならず、調整は基準値の範囲内で行うことになるので、極端な調整はできない。つまり、少し違う、くらいのものなのだ。

ただ、この「少し違う」が後々大打撃となってしまう。そこが怖いところなのである。


例えば、猫に多い尿石症はストルバイト結石かシュウ酸マグネシウム結石がほとんどだが、ストルバイト結石用の食事療法は、ずっと続けていると、シュウ酸カルシウム結石ができやすい体質になってしまう。


ストルバイト結石は食事療法で治すことができても、シュウ酸カルシウム結石は手術をして取るしかなく、間違った食事療法でメスを入れざるを得なくなったら、猫に謝っても謝っても謝りきれないだろう。


問題は、こういった可能性があることを病院で獣医師が飼い主に説明していない事である。自分が知ったのは獣医師セミナーに参加している時だった。それまで何度かストルバイト結石の猫を病院で診てもらっているが、この話は聞いたことがなかった。もしくは、頭がいっぱいで聞き流してしまったか…。


療法食をどこで買うかが問題なのではなく、きちんと説明ができていないことが根本的な問題なのではないだろうか。


ストルバイトの結石が出なくなったら、療法食は理論的には止めてもいいはずだが「続けてください」という獣医師も多い。なぜならば、再発するかもしれないから。


獣医療法食評価センターのサイトでは登録製品情報を見ることができる。良いのかどうかわからないが「これ以降の情報は、獣医療関係者向けとなっております。あなたは小動物医療関係者ですか?」という質問が出てくるのだが「はい」を選べば、ヒルズ プリスクリプション・ダイエット、ロイヤルカナン、サニメドの各療法食の情報を見ることができる。(2012年12月現在)


ロイヤルカナンユリナリーS/Oドライの使用上の注意事項には下記のように書いてある。

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妊娠/授乳期、成長期(マグネシウム含有量不足)には推奨されません。


心疾患(尿量を確保するために必要なNa量が心疾患のリスクとなることがあります。)、慢性腎不全、代謝性アシドーシス(尿を酸性化するように栄養学的に設計されているため代謝性アシドーシスを助長する恐れがあります。)には推奨されません。


病状の変化にあわせ、療法食の種類および給与方法についてできるだけ頻繁に、また定期的に見直しを実施してください。また欧州基準に準拠し、定期的な見直しをせずに以下に示された期間を越えて給与し続けることは推奨されません:ストルバイト尿石に関しては、溶解時は5~12週、再発防止時は6ヶ月以内、シュウ酸塩尿石に関しては6ヶ月以内

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再発防止のために続けるよう獣医師に言われても、一生続けるという意味ではないのだ。


勤めていた猫カフェに「うちの子が療法食になってしまい、買いだめしていたフードがいらなくなってしまったのでどうぞ」とお持ちいただいたことが何度かあった。その事からも「続けてください」と言われたら、一生続けるものだと思ってしまっている方がいるようにも思える。


個人的には療法食はお高いので、なるべく早く中止したいと思っており、似たような栄養成分の配合量になっているフードを探してこれでも良いかと獣医師に聞くこともある。だいたい「いいですよ」と言われることから、必ずしも療法食でなければならないというわけではない事が分かる。


400種類以上あると言われているキャットフードの中から捜すのは大変な作業になるので、気になる方は猫組の猫レッスンをお申し込みください。

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